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公益財団法人川崎市産業振興財団主催 技術セミナー開催

【テ ー マ】

 

中小企業の経営改革

 

それを支える改善技術の使い方

 

~ISO9001の実用化事例~

 

 

【日   時】  平成29年9月26日(火) 16時00~17時30分

【会   場】  かわさき新産業創造センター(KBIC) 2階大会議室

【講   師】  佐藤 幸雄 氏 技術士(経営工学部門)

【受 講 料】  無料

【定   員】  30名(申込順)

【対 象 者】  経営者、管理者、実務担当者等

 

素晴らしい業績をあげている企業に共通することは、経営トップのリーダーシップのもと、「全員参加の改善活動」を活発に展開していることです。改善を現場に徹底させ、成果に結び受けるには、「あるべき姿」を明確にし、「率先垂範」で、それを拡大実行させることが肝要です。

本セミナーでは、講師が取り組んできた多くの中小企業活性化の支援事例を紹介いたします。講師は、5Sの推進とTPM(※1)を活用して、「ISO9001」を効果的に実用化し、中小企業の力を引き出し、経営の体質を大幅に改革してきました。その改革を成功に導いた事例を紹介します。合わせて、「改善手法の活用の仕方」についても説明いたします。

最後に、第三者審査認証こだわらず、企業の独自性を発揮し、少ない費用で、ISO9001を効果的に取り入れる「ISO9001自己適合宣言」の実例を紹介する予定です。

(※1)TPM…Total Productive Maintenanceの略で、「生産部門のみならず全社をあげて、設備故障ロス、段取りロス、品質ロス、管理ロスなどのロス・ゼロに取り組む生産革新活動。

 

1.トップ企業を目指す改善の実行

◆顧客に最初に声を掛けてもらえるトップ企業  ◆5Sの徹底    ◆TPMの導入   

◆ISO9001とTPMの融合活動

2.「あるべき姿」の構築を目指す「ISO9001」の導入と改善の進め方

◆ISO9001と改善    ◆改善の進め方

3.あるべき姿を追及する方針管理:

PDCAの推進    ◆クレームゼロ・不良ゼロを目指して    ◆生産効率の大幅向上

4.改善の推進例

◆あるべき姿の明確化と改善のシステム化  ◆企業のISO9001に対する取り組み姿勢  

優良企業を「他力」として活用

5.企業の独自性を発揮し、顧客満足度を目指す「自己適合宣言」

独自性を発揮し、低コストでISO9001の要求事項を体得・活用し、顧客に評価されるシステ

 

パンフレットおよび申込み書はここをクリックし次に「?attachment_id=2211」をクリックしてください。

 

 

タイの日本企業を見学して・・・・優良企業はISO9001:2015の原点

2016年3月、1週間、タイ王国の日本企業の見学研修に行ってきました。見学先は、日産自動車、いすゞ自動車、味の素、ヤクルト、グリコ、東芝ホクト、コマツの7社です。

 タイ王国の面積は日本の1.4倍、人口は6800万人、首都は人口の1/4が住んでいると言われるバンコク。真夏は4月とのことですが、年中、日本の8月の気候で、気温は高いが湿度は低く、過ごしやすい環境でした。

 タイは、10年ぶりの訪問です。訪問先は日本の企業ですが、現地化が進み、各企業は、日本の工場というよりは、アセアン諸国の中のリーダー的存在の企業となっています。代表例としてアセアン諸国の拠点として現地に入り込むことを目指した味の素の“3つのA”が上げられます。

 

  ①Affordable:買いやすい(価格、サイズ)

  ②Avalable:どこでも買える

  ③Applicable:何にでも使え、現地料理を更においしく。

 

 そして、アセアン諸国に輸出できるように高度の自動化による原価低減対策、及び、少数の日本人で経営する経営の現地化が進められています。

 

 今回見学した企業は、自動車、食品、電子、建設機械など、異なった職種の企業が、顧客対応、製造、教育、経営管理など多方面で各企業の独自性を発揮して、優秀な業績を上げています。5Sは改善の基本として徹底され、自動化は、日本製の自動化装置を大々的に活用しています。その他の改善手法は各社の日本の工場で実施している改善手法をタイ工場で定着させたと思われ、改善が行き届いた工場です。

 いま、ISO9001が7年ぶりに改訂され,2015年版として新たな普及を目指そうとしています。改訂版は、顧客満足度向上と、プロセスのパフォーマンス向上に向け、品質管理システムを多くの業種に適用させるべく、改正がなされました。その改正の重点として、製造業では必須でも、他の業種では必ずしも必要でない「品質マニュアル」や「手順書」などは要求事項から除外されました。

 いずれにしても、各工場は、ISO9001を実行しているというより、これらの工場で実行している内容を標準化したのが、ISO9001であるとの感を強く思いました。各工場の中で実施されている改善対策は、日本の中小企業に横展開させたい事項が多数ありました。中小企業の改善支援の参考にしたいと思います。

 

「自力」の育成は「他力」の活用で「2歩前進」   2015-07-01                    

  先日、元の会社のOB会で、お酒を酌み交わしながら、現役時代の想い出を語り合う機会を得ました。その中で、私の実績を改めて振り返ってみました。私は、電気工学科を卒業して機械系の会社に就職し、多くの業務体験のなかで、電気出身者だからできたと思われることが多々あります。代表例として、鍛造工程への誘導加熱の導入が上げられます。自分1人で基礎実験から実施して実用化しました。実用化までの過程で、機械系の上司に、誘導加熱の有用性を説明した苦労を思い出します。実用化に当たっては、誘導加熱は、大規模なプレスシステムの中での中核をなすシステムで、高額な設備投資の責任者として、三菱電機の発電機を導入することで、信頼してもらいました。

 

 電気出身者には全くの部門外である高速研削については、精密工学系の学会誌を読みあさり、砥石メーカーの援助を得ることで、軸受輪の研削工程を最高の条件に実用化できました。また、ロボット部門の責任者の時には、自動車以外にロボットを普及させるには大幅な低価格化が必要として、TQCのデミング賞受賞の成果を活用して、部品点数の半減化をはじめ、購入部品の大幅低価格化を提案し、それを実現したロボットの新製品で収益向上に大きな貢献をしました。

 

 いずれも、各製品の製造技術の展開過程の中で大きな足跡を残せたと自負しています。これらのことは、私が機械系の専門家でないため、その道の専門の方々からの「他力」によって専門的知識を学んだことや、私自身が機械系の学会誌などで勉強して、「自力」を育成したことなどにより実用化できたのだと考えています。総括して考えると、工夫や改善に必要とされる「他力」を活用して「自力」育成し、「2歩前進」を目指すことで大きな改革を実行できた事例と考えられます。目先の改善では議論を巻き起こすことでも、目標が明確な「2歩前進」なら実現できます。その際、「あるべき姿」を明確にし、「自力」を育成する「他力」を活用することが重要です。「自力」中心に業務の展開を考える中小企業の経営者に「他力」の活用を考えて欲しいと思います。

中小企業発展の基本   2015-06-01

『中小企業は国の宝・中小企業の繁栄は社会の活力』。この理念のもとに、中小企業をサポートするするプロ集団として、「一般社団法人かわさき中小企業応援団」を設立しました。私は、この応援団の理事の一員として中小企業の支援を行うと同時に、(協)高津工友会の理事として、会員の皆様のお役に立つ活動を行ってまいります。中小企業を支援する手始めとして「現場改善とコストダウン」と題して、高津工友会と、かわさき中小企業応援団でセミナーを行いました。セミナーに対する皆様の反応は、固有技術の取り組みには精力を注いでいるが、管理と改善の基本である5SとISO9001など、先輩企業に学ぶことに対する関心が薄いように感じました。

 

 改善の基本は「品質管理」と「IE」であり、実用上は「5S」からスタートするISO、TPS(トヨタ生産方式)、TPM、ITなどです。多くの優良企業では、それらの管理技術を活用するのに大きな勢力を注いでいます。今後、中小企業が自社独自の改善方式を構築するにしても、これまで先輩が築いてくれた改善の基礎をしっかり身に着け、それを基礎に自社システムを発展させる必要があります。

 

 中小企業は、個人のアイデアと努力でスタートしますが、成長のカギは、先輩の知恵の活用にあると言ってもhp5200過言でありません。日本の現在の文明は、その原点は、遣唐使、明治維新、戦後の発展など、外国の文明を取入れ、それを育成し、成長させてきたところにあります。改善の基本は、「5S」「品質管理」「IE」であります。中小企業が自社独
自の改善方式を構築するにしても、これまで多くの人が築いてくれた改善の基礎をしっかり身に着け、それを基礎に自社システムを発展させる必要があります。当面、「5Sから始める現場改善」からスタートしましょう。

 

(図をクリックしますと拡大表示されます。)

 

 

技術の導入と展開 ~戦後70年の出発に際して~

 今年は2015年、平成26年ですが、終戦後70年でもあります。昭和20年の終戦時には、私は、小学6年生で、戦争ごっこと勤労奉仕で過ごしていました。配給米で飢えを凌ぎ、自転車とリヤカーの時代に、アメリカでは一家に2台の自家用車を保有しているといわれ、想像出来ない生活水準の差でした。それが現在では、農村地帯では、一家に2台から3台の車は当たり前となっています。その間、アメリカを中心に先進国から各種の技術導入が行われました。特に、昭和30年から40年代はアメリカなどから高度の自動機械を輸入し、そのコピー機の拡大などで生産力が急速に拡大しました。そして、昭和60年代はコンピュータを活用した生産の自動化・コンピュータ化、すなわち、FA化CIM化が急速に普及しました。このように、自動化された効率的なシステムが、生産の海外移転などに対応するため、多品種小ロット生産の効率化などへと、生産形態の変化も進めましたが、日本の生産基盤は充実しました。

 

 このような生産形態の変化を進めながら、終戦当時は想像もできなかったアメリカを超える生活水準を実現することが出来ました。その過程を振り返ると、生産の自動化を実現するための生産技術に合わせ、品質管理やIE、コンピュータなどの管理技術の取入れを実施したイノベーションの効果があげられます。これらの自動化技術や品質管理、IE技術などの大部分の技術はアメリカで誕生し、発展してきました。そして、その技術はFA化、ISO、TPS(トヨタ生産方式)、TPMなどとしてわが国で熟成して標準化され、現在の日本の大企業の管理の基本として普及しています。 

 

  現在、繁栄している多くの大企業は、これらの管理技術を上手に活用しています。トヨタ生産方式は独自の改善方式と思われている向きもありますが、作業改善は「フォード方式」、改善方式は戦時中にアメリカで開発された「TWI」を基礎として、トヨタの実態に合うように永年かかって実用化されたシステムです。中小企業が新しい改善方式を取り入れる際には、これまで多くの企業が築いてくれた改善の基礎をしっかり身に着け、それを基礎に自社のシステムに適合するようにする必要があります。

 

強力な改善とエゴの力

  このたび石原慎太郎さんが「エゴの力」という本を出版されました。この本で引用されている事例から、物事を完遂させるためには、それを実行するトップの強いエゴの発揮と、そのエゴの実行に同調する協力者のあり方を改めて感じました。信長、秀吉、家康の例が面白い例です。3人とも戦国の乱世を終わらせたいとの思想は同一ですが、そのためには、まず、信長の強引なエゴの発揮が必要であり、その実行のために、家康は自分の子供を切腹させることまでして信長のエゴに同調しました。また、秀吉は、信長のエゴの発揮をとことん助けました。そして、秀吉、家康とも、自分の出番を察知すると、自分のエゴを発揮して、戦国の世を治めた大変良く出来た例です。

 

 エゴの狙いは一緒でも、その根底にある基本知識の共有化がなければ問題です。明治の日本の改革は「ヨーロッパに学ぶ」を基本としていたので、政権運営の主導者と共通基盤に立つ知識を持つ必要があったのです。明治維新の功労者の西郷隆盛は、ヨーロッパに渡航しなかったので、ヨーロッパ文明の取入れを中心とした明治政権と意見が合わず、自分のエゴを貫くことができませんでした。

 

 中小企業で似たような例が発生します。創業社長は自分の体験を活かして、会社の成長に向けエゴを発揮して会社運営を行っています。そこに、他社で経験を積んだ優秀な人が途中入社すると、創業社長のやっている内容が自分の理想と大幅に異なるので、自分の意見を社長に直接提案し、実行を強要します。そこで、社長と意見が衝突し、退社してしまう例が多くあります。会社を良くする気持ちが一緒なので、信長に対する秀吉と家康の例に学んだ対応をすればよいのにと思う場面によく出会います。

 

 また、大手企業が急激な改善を実施する際に、指導者が強力に改善を実行するが、組織全般に定着せず、一旦、後退し、その後、再実施し、成功している例が多く存在します。何はともあれ、物事を実行するにはトップの強い意思「エゴの力」が必要です。そしてそのエゴを確実に実行するには、トップを支援する同意者の養成が重要です。強力な改善を実行するときに考えておかねばならない事項です。

自分に限界を作らず、仕事を楽しむ心が道を開く

 このたび開催された日本IE協会全国大会で、23年間の主婦生活の後、44歳で弁当販売員として日本エンタプライズにパートで入社、専業主婦時代の経験を活かし、カリスマ駅弁販売員として頭角を現した三浦由紀江氏の講演がありました。三浦氏は、52歳で正社員、53歳で大宮営業所長。大宮営業所長1年目で駅弁売上高を5000万円、就任4年で売上高を1億1000万円アップさせるなど、大きな業績を上げました。

 

 三浦氏は、この実績の根底は、23年間の主婦時代の体験を活かし「仕事は楽しく、自分に限界を作らない」、「楽しむ心が、道を開く」そして 「人生すべて演技力、演出力」にあると言っています。

 

 三浦氏の接客の要点を紹介します。

 

 ・駅弁の販売は人を相手にする仕事であり、接客力が全ての基本

  「いらっしゃいませ」というあいさつと、お客様の好みを把握して売ること、この人から

  買いたいと思わせることが重要

 

 ・駅弁販売だから雄弁な人が必ずしも良いわけではなく、人の心に響く態度や言葉がでる人

  が必要

  あまりしゃべらない人、口下手な人、モソモソっと話して売る人、相手に話させるような

  人も重要

 

 ・販売員ひとりひとりが、その個性を、その人らしさを前面に出しながら接客することが

  大切

 

 ・仕事の基本のマニュアルは必要だが、顧客対応のマニュアルは必要なく、個人の持ち味を

  表現

 

 駅弁の販売は接客業の最先端であり、三浦氏の実績は「この人から買いたい」と思わせる自分の振る舞いを顧客の観点で意識することであるといっています。「大宮」「上野」それぞれのやり方があるが、その、いろいろの個性を持っている販売員の行動を指導するには、「自分が変われば、まわりが変わる」ということで、まず、自分の行動を変えることであり、その第一は毎日を楽しく、整理整頓をしっかりやることが重要であったと強調しておられました。

農作物収穫ロボットの研究発表会を聴講して

 このたび、精密工学会生産自動化専門委員会で開催した「農作物収穫ロボット」に関する発表会を聴講しました。7月に行われた千葉大学の植物工場見学と合わせ、農業のあり方に関する認識を深め、農業の自動化の必要性と、実現のための課題を探ることが出来ました。我が国は、農業人口の高齢化などもあり、食糧自給率は40%から向上できそうもない状況です。これを脱するためには、「儲かる農業」の実現に向けた多様な運営形態の対策が必要で、農業の産業化、活性化に向けた農水省の対応策が活発化しています。その一環として、栽培システム全体の効率化と、各種作業の自動化・ロボット化を含めた研究・開発が植物工場として進められています。千葉大学では人口光活用型、愛媛大学は太陽光活用型、大阪府立大学では、人口光・太陽光両面より研究・開発を進めています。

 

 農業生産の自動化では、生産現場の多様な環境変化にあわせ、植物の生育状況を把握することが必要であります。各種センサーを搭載した生育診断ユニットがハウス内を走行し、収穫ユニットで、果実を収穫することになります。キュウリなどは、1日の成長速度が速く、翌日になると長過ぎて半値になってしまうこともあるので、最盛期には、毎日、朝夕収穫する必要があります。また、労働力の大部分は収穫に集中するので、収穫作業省力化のためのロボットの開発が望まれます。

 

 現在、植物工場は、採算のとれるものを対象に拡大し、レタスなどの葉物類、トマト・キュウリ・イチゴなどを中心に推進されています。太陽光活用型を研究している愛媛大学では、かなり大規模な形で実用化し、愛媛大学と関連して植物工場を運営している150人規模の企業があります。また、キューピー、カゴメ、井関農機など、メーカーも参画してきています。農水省では「モデルハウス型植物工場の実証・展示・研修事業」として、全国6か所で植物工場の拠点を整備しました。

 

 植物工場のこれらの各種課題を克服し、植物工場が魅力ある農業として若者があこがれる産業となり、また、植物工場関連産業が有力な産業に育つことを期待します。

階層別人材教育で、素晴らしい改善活動を実施している工場見学記

  このたび、素晴らしい改善活動を実施している横浜ゴム三島工場を見学に行ってきました。この工場は、自動車用タイヤを毎日4万本生産している従業員900人あまりの工場です。この工場では15年程前にTPM優秀賞を受賞したが、10年程経過してみると、TPM活動を体験した人は半分程度になり、改善のレベルが低下しているのに気付き、改善活動を再開することにしたとのことです。これまでにISO9001/14001の認証、TPM優秀賞、自動車規格のISO16149の認証など、各種の受賞活動を体験しているので、今回はこれらの改善活動の成果を踏まえ、真に役立つ改善活動を目指したとのことです。

 

  今回の改善活動の重点を人材育成に置き、その目指す姿は「自ら気づき、行動できる人づくり」とし、継続的な活動を展開しています。人材教育は、作業者、リーダー、監督者の3グループに分け、それぞれに詳細な教育プログラムが作成され、教育が実施されています。作業者レベルでは、新入社員からリーダー候補まで、段階的に詳細な教育段階がプログラムされ、役づけ者の研修は、自ら考え、行動できる人材づくりとして、ものづくりの推進ができる人材づくりを目指しています。

 

 改善活動は、7つのムダ摘出の方式で問題を発掘するTPS(トヨタ生産方式) 、問題の解決を実行するTPM、階層別人材教育とサークル活動の3本柱で構成されています。TPMの改善活動は、TPMの基本である「自主保全の3ステップ」の実行に重点をおき、初期清掃、発生源困難箇所対策、仮基準書づくりの現場改善の基本を繰り返し実施しています。問題と改善の実行成果は53の各サークルがまとめ、各現場で成果を張り出し、また、毎月3サークルの全社発表で行われます。改善の基本としてのTPSとTPMの基本的技術をしっかり学習してそれを確実に実施し、その成果を上げるために「階層別人材教育」を組織化して独自性を発揮し、効率的に実行している点が素晴らしと感じました。

モデル工場的自動化システム~工場見学に見る自動化技術~ 

 先日、NPO自動化推進協会主催で、ベアリングの大手メーカー㈱NTNの磐田工場に見学に行き、そこで、自動化の方式のモデル的な生産システムを見学しました。

 

 機械加工・組立系の自動化は二つの方式が基本と言われています。一つは、人間の手作業をそのまま機械に置き換える方式で、ロボットなどを使用する方式です。もう一つは、加工方法を徹底的に検討し、製品の形状から機能などを含み、最高の品質の製品を最高の能率で加工する専用機械を設計し、専用生産ラインを構成する方式です。㈱NTNは生産技術力が優れている会社で、自動化技術の元締めを自負している自動化推進協会の会員から注目されている会社です。見学の重点は、量産品自動化の典型と言われるラジアルボールベアリングの研削・組立の専用ラインと、多品種少量生産の等速ジョイントのロボットを活用した自動組立ラインでした。

 

 ベアリングの加工ラインは、外輪と内輪の研削工程と、研削完了の外輪と内輪にボールを入れて組み立て、グリースを入れる組立工程です。これらの機械は、全部自社製で、無人で効率的な自動生産を行う専用機械システムで構成されています。加工の要所工程では品質の作り込みに自動検査が行われ、また、組立工程の途中では製造年月日などのレーザーマーキングがなされ、更に最終工程では、全数、重量の自動選別がなされ、完全な品質保証を行う専用自動加工組立システムとなっていました。

 

 一方、等速ジョイントの組立工程では、多品種少量生産品の組立てを自動で行う組立装置、その組立装置への部品供給、更に、検査もロボットを活用して自動で行うなど、ロボットをした完全自動化に対する各種の工夫がなされていました。

 

 10年前に見学させてもらった時と比べ、大幅な進歩に驚かされました。ベアリングそのものは変わらない中で、製造工程は大幅に改善されています。日本のベアリングの世界進出が拡大しています。その根底には、絶え間なく改善されている製造技術にあることを改めて感じさらせられた次第です。 

徹底した教育で生産ラインが大幅に変身・・・日産自動車

 5年ぶりに日産自動車を見学し、大幅に改善された生産ラインに接しました。日産自動車は『同期生産方式』として、生産方式改革の先端を切りましたが、その後、『トヨタ生産方式』に主役を譲っていました。5年前に見学した時には、ゴーン社長の強い指示もありということで、トヨタ生産方式の思想も取り入れながら、生産ラインの改善を実施中でした。しかし、搬送について言えば、「重力に頼るな」という自動化の原則を無視した「ローコストオートメーション」を実施し、見学途中にチョコ停に何回も出会いました。今回はそれらの不完全さが見当たらず、安定した見事な生産ラインとなっていました。

 

  ラーニングセンターで、実践力を重視する教育体系の紹介があり、生産体制の改革は、充実した教育体制の成果によるものと感じました。「わかる」「できる」「うごける」の3ステップを実践することを前提にしたカリキュラム、テキスト、教材を提供し、「モノづく大学」で、じっくり研修を行い、研修は、単なる座学でなく、実物を使った実習中心です。実物でのCAD/CAM、プリント基板を使った回路実習、トヨタのプリウスの実物エンジンなどを使用しての構造検討、また、設備面では、各種の機械を使った加工実習、ロボットの活用などの実物教育が紹介されました。〇〇工学出身者を自動車工学の専門家に育て上げる教育だとの説明がありました。また、これらの教育は、国内外の工場の技術者の全体のレベルを早急に上げねばならないので、テキス作りにも力を入れているとのことです。

 

 見学した乗用車4車種混合の組立ラインでは、これらの教育が行き渡った感じで、効率よく編成されていました。工程内搬送は小型の無人搬送車が多数使われ、部品のピッキングから搬送・分配も自動的に効率よく実施され、要員の配員も適正で『同期生産方式』による効率化が見える化された状態になっていました。

 

 教育システムの充実と標準化の徹底でトップダウンによる効率化は推進されましたが、トヨタ生産方式に見る「現場ベースの改善」がどこまで推進されるかが今後の課題と感じました。

改善活動のテーマに「自動化、FA化」を

 今回、あるきっかけで、中小企業の自動化のコンサルタントの引き合いを受けました。顧みると、私の本来の得意技は、自動化/FA化です。不二越社内に自動化/FA化を展開、中小企業向けにロボットを活用した自動化システムを構築、そして、ロボットのエンジニアリング会社の社長の時、経営工学の技術士の資格を取得し、著書「知りたい搬送」と併せ、自動化の推進を販売支援の役に立ててきました。しかし、その直後、バブルの崩壊が発生し、人余り状態で、ロボットや自動化は不要な環境になり、中小企業大学校でも、自動化の講義がなくなりました。そこで、経営工学の技術士の得意技として、QC、IEを活用した「5Sと現場改善」、「ISO9001と生産管理システム」に特化して、中小企業大学校の講師を続け、自動化/FA化は学会関係の活動は行うが、表面化しない得意技としていました。

 

 最近は、人間型ロボットや3Dプリンタなどの話題とともに、ロボットや自動化が注目されて来ました。今後の少子高齢化のことを考えると、製造業にとって、品質確保と製造コストの両面から自動化の普及は必至です。改めて考えると、ものづくりの基本は自動化です。ものづくりはCAD/CAMの活用を含む人間の作業からスタートしますが、単純・繰り返し作業は自動化で行い、人は、物づくりの設計・開発あるいは、作業の改善・修理など、人間でなければできない作業に限定するようにしたいと思います。

 

 最近、機会を見つけて工場見学に参加しています。大手優良企業は自動化の観点から見て、自動化手法を活用した企業に成長しています。3DのCAD/CAMを上手に使いこなし、また、現場作業も改善提案を含め、自動化的ものづくりを強力に推進し、人の能力を上手に活用しています。バブル期のCIM/FAに踊らされた時代とは全く異なる、確実な自動化・無人化を目指した改善が進められています。

 

 一方、中小企業では、5S活動やISO9001の取り組みも十分できず、繰り返し作業や、雑用に人手を使っているケースが多くあります。改善活動の中に、「自動化」のテーマを加えるべきかと考えます。

千葉大学の植物工場を見学しました(精密工学会生産自動化研究会)

 千葉大学の植物工場は、筑波エキスプレスで秋葉原から30分、柏の葉キャンパス駅下車5分のところにあり、合計床面積は13,350㎡、このコンソーシアム参加企業94社、NPOとの強い連携の下で運営されている組織で、最近の売上げは年2億円ほどとのことです。

 千葉大学名誉教授でNPO植物工場研究会理事長古在豊樹先生の講演と案内で植物工場を見学しました。

 

 この見学会を通じて習得した植物工場に関する知識を紹介します。

 

 

 植物工場の条件として次のものがあげられます。 

 ①水は雨水のみを使用

   ②石油系暖房はしいない。CO2供給のために必要量を使用する 

 

 

 このようなことで、生産性3倍(面積当たり)、コスト1/3を目標にしています。実際、一般の耕地は年間200日は空いているが、植物工場では昼夜連続稼働で、4~5毛作です。

 

 また、下記のような理由で植物工場製の食物は、一般品の1.5~1.8倍の価格で売れているとのことです。

  ①虫がいない 

    ②無農薬 

    ③見た目が良い 

    ④日保ちが良い(3週間は保つ、一般品は1週間程度)

 

 

 この工場では、レタスとトマトを栽培しています。10段、6列、11棚のレタスの栽培工場で、下記の実状を紹介されました。 

 ①10段の各段に蛍光灯を15~16時間照射(夜間) 

   ②苗を植えてから収穫まで11日間

 ③1日3,200個 

   ④費用は設備費75%、電力費25%、人件費25%ほど 

   ⑤直接原価100円、売値200円ほど

 

 

 問題は、葉摘み、肥料やり、環境管理に人手が必要ことなどがあげられました。

このシステムを運用するには多くの知識が必要で、今後、一般の大幅な拡大は困難であるとのことでした。

 人口光型の植物工場は日本がトップだが、太陽光利用型は、人件費が日本の3倍高いオランダが非常に進んでおり、トマト栽培の太陽光型設備とコンサルタントはオランダから輸入されたと紹介されました。

固有技術を支える管理技術

 先日見学したモーターの巻き線機会社は、卓越した固有技術を有し、自動車や家電メーカーカーが、新製品に使用するモーターを製作する際には真っ先に声を掛けられる素晴らしい会社です。この会社を、「トップ企業」の立場から会社の運営状況を検討してみます。

 

 巻き線機械の固有技術に関しては、社歴60余年の経験により他社が追従できない卓越した技術を持っています。

 今回は、その固有技術を有効に発揮するための一般管理技術について紹介します。受注品の対象モーターは、殆ど新規の開発製品で、必ず立会検査があり、製作現場は5Sを実行せねばならない立場にあります。また、お客さんは品質問題を重視している大手企業なので、品質保証体制の整備は必須で、当然、ISO9001準拠の標準化が実施されています。また、殆どの製品は特殊設計品で短納期なので、設計と現場が密着し、ITを活用した小回りの利く生産管理が実行されています。

 

 このように卓越した固有技術を保有している会社が、「トップ企業」としての地位を確保して行くために、5S、ISO9001、IT活用の「トップ企業」のための「3つの要因」を充実させる仕組みを作っています。固有技術の巻き線械機の技術は、お客様の要望を取り入れながら、チャレンジャブル精神で常に最先端の技術開発を進めています。一般の管理技術は固有技術の開発を支える形で、CADをはじめ、新しい技術を取り入れ、技術の充実を図っています。

 

 そして、世界一の巻き線機メーカーを目指しているこの会社は、日本の良さをPRするため、「江戸間」「富士の間」で和風の歓談、エレベーターの中で富士山が見えるなど、外国人を意識した「おもてなし」の余裕も示しています。

『トップ企業』見学

 本日、小型モーターの巻き線機械を作ってる会社の工場見学に行ってきました。創業60年を超える会社で、他社が真似のできない固有技術を保有し、自動車や家電製品の新製品には必ず声をかけられる「トップ企業」です。最新の自動車10車種中7車種、クリーナー10機種全部にこの会社の巻き線機を使用したモーターが使われているとのことで、世界一の巻き線メーカーを目指しています。

 

 この会社が「トップ企業」の地位を確保するために多くの対策を行っています。巻き線の方式は5種類あるが、全方式を研究しており、最適の方式を提供しているとのことです。新製品のモーターは他社には極秘のことが多いので、試運転時に、他社に秘密が漏れない対策がしっかり配慮されています。また、「江戸間」「富士の間」など日本の雰囲気を感じさせ、エレベーターの中から富士山がみえるなど、外国人を意識した「おもてなし」も意識されています。事務所は、全面、ガラス張りのオープン化です。

 

 これらの固有技術は、社是として「開拓精神で顧客に奉仕する」というチャレンジ精神に裏付けされています。短納期受注品が多いので、工場と連結した設計対応や、非常にこまめな工程管理が実施されています。買収した子会社を含めると規模の大きい会社となっていますが、会社本体は40人の設計中心の中小企業です。

トップ企業の基礎となる固有技術

  中小企業は誇れる固有技術を保有していることで企業が成立しています。しかし、真っ先に声をかけてもらえる「トップ企業」と言われるためには、お客様に、わが社の固有技術を知ってもらわねばなりません。少なくとも、「あそこに頼めば大丈夫」の信頼を確保しておくことが必要です。そのためには固有技術の品質・機能がお客様の要望を満足させる水準で、他社に比べても大幅に低くないことが要件です。圧倒的に優位であれば固有技術のみでもトップ企業と認められます。固有技術がお客様から信頼されれば、一般管理技術を充実させることで「トップ企業」と認められます。

 

 欲しいものが見えなければ、欲求が起こりません。お客様に認められるには、自分の会社の「シーズ」、即ち、固有技術がお客様の要望を充足させ得ることが必要です。そして、そのシーズがお客様に見えるようになることで、お客様に「欲しい」と言う「ニーズ」が発生します。そのお客様の「ニーズ」に、わが社の「シーズ」をドッキングさせることで、客様のニーズを「ウォンツ」に発展させ、お客様と結ばれます。

 

 皆様の会社の固有技術が他社に比して優れていることを明確にして、お客様に知らせましょう。そうすれば、管理技術の充実により、独りよがりの固有技術でなく、常に改善を進めている『トップ企業』を目指せます。

改善活動の体験を活用し、優秀企業への指針に

  私は、中小企業大学校の講師として、また、経営コンサルタントとして、200社近くの中小企業を、各企業の 現場に立ち入り、改善活動を支援してきました。支援に際し、各企業がそれまで、どのような改善活動を行って きたかを理解するのは大変興味のあることです。

 

 取り組んできた改善の方法は、大きく4つに分類されます。

 

 その1は、改善活動を何もしない成行き管理です。 その2は、創業社長に多いタイプで、自分流の経営が最高の業務運営と自信を持ち、改善手法を学ぶ態度を示さ なかった企業です。 その3は、改善に成功した指導者が、その指導者流の改善手法を押し付けるタイプで、この分類の中には、他社 の成功事例を徹底して取り入れることを推奨している人もいます。 その4は、QC手法、IE手法、TPMなどの改善手法を活用した改善です。この方式は大手企業が実施してい る方式で、SGJもこの方式を採用しています。

 

  しかし、この方式は指導者の実務体験が乏しく、実務に立ち入った指導ができないと形式的な改善に終わってし まいます。大企業出身者に指導された企業が『ISO9001の認証を取得したが何の役にも立たない』と、ISO 不要論を述べているのがその例です。

 

 いずれにしても、改善は経験の積み重ねです。これまでの体験は大きな財産です。企業により改善の進め方は 異なりますが、これまで支援してきた成果を参考に、優秀企業への活動の指針とするためにまとめたのが、SG Jのホームページに掲載した『トップ企業の育成』です。

 

  この改善指針は10~80人規模の中小企業、或は、大手企業の部門改善を対象としています。

 

 中小企業の皆様の業務改善のお役に立てれば幸いです。

『トップ企業』化を目指したホームページのリニューアル

 昨年、従業員30人の顧問会社がTPMチャレンジ賞を受賞しました。この会社の受賞活動の成果は素晴らしく、品質問題をはじめ、自主保全活動、設備の個別改善などに大きな実績を残し、企業の体質を大幅に向上させました。この改善成果に対し、納入先から、非常に大きなお褒めの言葉を頂いています。

 

 この会社では、5S活動からISO9001の認証取得、そして、更なる企業の改善を目指してTPMの受賞にチャレンジしました。私は、ここでは、各活動における管理者と従業員の対応方法などを工場責任者として指導してきました。この活動の方法を、これまで実施してきた中小企業大学校で指導してきた中小企業の改善活動や、大企業の組織的改善活動とを比較してみると、大変興味深いものがあります。

 

 これらの体験が中小企業の皆様の改善活動のお役に立てばと思い、経営コンサルタントとしての私のホームページのリニューアルを計画しました。

 

 大手企業は安定した優秀な供給先を求めています。中小企業がその顧客から真っ先に声をかけてもらえる『トップ企業』になれば安定した受注を確保できます。お客様から『トップ企業』として認められるために必要な現場改善の対策をホームページに掲載しました。優秀企業に成長を目指しておられる中小企業の皆様の一助にしていただければ幸いです。

 

 ご要望があれば気軽に声をおかけください。ご意見をお待ちしています。